2011年12月10日土曜日
磯崎新設計のホテル
つくばにある磯崎新設計のホテルです。つくばセンタービルの一部です。竣工は1983年のなで、もうすぐ30年です。筑波第一ホテルとして開業し、現在ではオークラフロンティアホテルつくばとなっています。外観は同じでも時代は変遷しています。
安部公房著「闖入者」(1955)は、橋下徹大阪市長の危うさを予見したかのような小説です。
k君の家に、ある晩突然、k君とは何の関係もない九人家族が大挙して押しかけ、居座り始めます。k君の抗議には多数決を理由にk君の部屋を占拠してしまいます。
さらに、K君に対して時には多数決で、時に暴力で、彼を奴隷状態にする物語です。闖入した家族は、あくまで自分達の権利だけを主張し多数決によってすべてを決定してしまいます。
この物語について安部公房氏は「このドラマは、ごく単純に言えば、誤解された民主主義、もしくは多数という大儀名分の機械的拡大解釈に対する、諷刺がそのテーマの中心」と語っています。
さらに続けて、「巧妙な多数原理の煙幕的利用、...偽似多数原理...皮肉な現象にホンロウされている、平凡な一市民を描き出」したと述べています。
そして、「孤立しているために抵抗の手段を見失った、孤独な市民に対する諷刺の意図があった」と語っています。
多数決原理を暴力の合理化に利用した闖入者たちに対して、多数決神話に毒されていた主人公は、その神話にさからうことができない。民主主義とは何か、もう一度考える必要があると感じています。民主主義とは少数派の存在を認め、その考え方を尊重することから始まるのであり、多数によって少数派を支配することではありません。
今日12月10日は世界人権デーです。民主主義の名の下に「独裁」を許してはならないと思っています。