2012年3月18日日曜日

梨畑から見た春の青空



















梨畑から見た春の青空です。雨との予報ははずれ温かい朝となりました。


【文献紹介】喘息、アレルギー、関節炎の新しい治療法につながる新発見

 アメリカ、ソーク研究所の研究所のチームは、クリプトクロム(体内時計に関与するタンパク質)には、ステロイドの副作用軽減作用があると、「ネイチャー」の報告しました。

 グルココルチコイド(体内で自然に産生されるステロイドホルモン)は、血糖のコントロールに関与しており、朝に栄養レベルを上げ、夜に下げる働きが知られていました。このステロイドホルモンは、分子スイッチであるグルココルチコイド受容体との作用を通じて細胞内で機能することが以前の研究で明らかになっていました。

 グルココルチコイドには炎症を抑える働きがあり、これらのステロイドは過剰な免疫システムによって引き起こされる病気(たとえばアレルギー、喘息、慢性関節リウマチ)を持つ患者に抗炎症薬として用いられ、ガン患者における炎症の治療にも使われています。しかし、ステロイドは糖代謝を妨げ、危険な副作用(過度に高い血糖値、インスリン抵抗性、糖尿病の合併症など)をもたらすと考えられています。

 研究では、マウスの細胞を用いて調べたところ、クリプトクロムはグルココルチコイド受容体との相互作用により、糖の貯蔵や使用の制御に影響を及ぼしていることがわかりました。クリプトクロムは、24時間周期のリズムに対する作用だけでなく、グルココルチコイドの働きを調節し、毎日の栄養素の代謝においても役割を果たしていることが確認されました。

 マウスの細胞は、ヒトの細胞と同様に機能すると予測されていることから、調査結果は自己免疫疾患やガンの治療方法にも影響を与えると考えられています。毎日のクリプトクロム濃度の上下に注目することにより、糖代謝にかかわる特定の副作用を避けるようステロイドの投与時間を調節することが可能になると期待されています。

 また、今回の結果は睡眠と栄養代謝の関係(夜間または不規則な時間に働く人で肥満や糖尿病のリスクが高い理由を含む)を説明するのに貢献すると考えられています。

 直接グルココルチコイド・スイッチを標的とする代わりに、クリプトクロムをターゲットとすることで、副作用の少ない抗炎症薬を開発することができるのではないかと研究者らは述べています。

【文献】
Lamia, K. A. et al.: Cryptochromes mediate rhythmic repression of the glucocorticoid receptor. Nature, 480: 552–556. (2011) [doi:10.1038/nature10700]